文学・絵画での変形
映画やアニメーションが発明される以前からイメージの変化を楽しむ文化は世界中にあり、それらは言葉遊びや小説、絵画、演劇(人形劇も)などでも行われてきました。
ここでは静止した平面のメディアの特性を生かしたメタモルフォーゼを取り上げて紹介します。
思い込みの絵本
絵本におけるメタモルフォーゼの例として、2017年度 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 山口菜摘氏の卒業制作作品「思い込みの絵本」を紹介したいと思います。
この作品は仕掛け絵本の一種で、本というメディアの「めくる」という特性を生かして、意味のメタモルフォーゼが展開されます。
絵本は見開き右ページが絵で左ページがその短い解説になっています。
右ページの絵の一部分が切り抜かれていて、後ろのページの絵の1部分が見えています。この見えている部分はページをめくると次のページの絵の1部分となり、意味が変化して見えます。これは言葉が、文章の文脈(コンテクスト)によって変化する現象に相当しています。
作者の山口菜摘氏は、この仕組みを使って二冊の絵本を仕上げました。
実物の絵本をめくった時の驚きを再現するのは難しいですが、ここでは一応、めくる動作をボタンのクリックに置き換えてシミュレーションしています。
左ページの文章は、めくられて新しいページが現れた時に、絵に重ねる形で表示しています。
またこの本には、ページをめくった時に前のページの言葉が切り抜かれた穴から見えて、同じ言葉が別の文章の言葉になる仕掛けもありますが、ここではその言葉だけ色を変えています。
「メタモルフォーシスⅢ」
上記、M.C.エッシャー作「メタモルフォーシスⅢ(Metamorphosis Ⅲ)」1967-68年を取り上げ 、スクロールするムービーにしてみました。
白黒の市松模様が、様々なタイリング・パターンに変形していき、再び元の市松模様に戻って終わります。