Appendix

No.54

テレビやビデオが映る仕組み


走査線について

 

テレビやビデオは、フレームごとに一枚ずつ静止画像を投影する映画とは異なり、走査線を使って徐々に画像を作り上げていきます。
ここでは、その仕組みを単純化し、簡単なシミュレーション映像を使って説明しています。
下の画像をクリックしてご覧ください。

 

『The Fourth Dimension』ズビグ・リブチンスキー 1988年

ここでは、YouTubeにリンクさせて、リブチンスキーの実験的な映像作品をご覧いただきます。
走査線の開始時間を少しずつずらすことで、硬いはずの岩が歪んだり、人体がねじれたりした不思議な映像を作り出しています。(27分5秒)

※ ここでのムービーは、YouTubeにリンクして表示しています。YouTubeで削除された場合は表示されないことがありますが、その場合はご容赦ください。 
インフォメーション・アイコン

飛行機のプロペラの映像がなぜ歪むか
ーローリング・シャッター現象ー

上記ビデオと写真は大島行きの小型飛行機のプロペラを撮影したものです。
上から下へ降りる走査線で画像を捉えた場合、プロペラなどの回転運動を撮影すると、1回転する間に、走査線が順番に線状の画像として被写体を捉えながら下に降りていくため、画像が歪む現象が現われます。
この現象をローリング・シャッター現象(rolling shutter phenomenon)と言って、フィルムでのワゴンホイール効果(N0.30参照)と同様に、肉眼での見え方と違う映像ならではの現象として知られています。
下記のムービーは三枚羽、四枚羽、五枚羽で、それぞれ1回走査が終わる度に、プロペラが1回転する場合と、2回転する場合の記録される形の違いをシミュレーションしてみました。
画面を90本の走査線に単純化し、90フレームで走査線が上から下へ画面全体を走査するように設定しています。
※それぞれのボタンをクリックしてご覧ください。

≪1回転で同期する場合≫

走査線が上から下へ降りるまでに、プロペラが1回転する場合のプロペラの歪み方

≪2回転で同期する場合≫

走査線が上から下へ降りるまでに、プロペラが2回転する場合のプロペラの歪み方

ズビグ・リブチンスキーについて

The Fourth Dimention

リブチンスキー(Zbig Rybczynski)は ポーランド出身の映像作家で、ヨーロッパ・アメリカを中心に、演出家、撮影監督、脚本家、実験的映像作家として活躍、映画撮影とデジタル映画撮影の講師も務め、2009年にはポーランドに「視聴覚技術センター(CeTA)」を設立して、映像・視覚技術の研究・普及活動を行っています。
1970年初頭よりデジタル技術を駆使した映像作品を多く発表し、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、ミック・ジャガーなど著名なアーティストのミュージック・ビデオも手がけています。
高精細度テレビジョン放送(HDTV)技術を用いた映像作品のひとつが、この「The Fourth Dimention」です。
1982年には「タンゴ(Tango)」でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しています。(No.37「映像でのリピート表現」を参照)

トップへ戻る