走査線について
テレビやビデオは、フレームごとに1枚ずつ静止画像を投影する映画とは異なり、走査線(scanning lines)を使って徐々に画像を作り上げていきます。
ここでは、その仕組みを単純化し、時計が回転する動画の各画面を20本の帯の集合体で表しています。
その帯を走査線に見立てて、どう画像を描き換えていくのかをシミュレーションしてみました。
- 「画像分解」では、画像が帯の集合体でできていることを示しています。
- 「映画の場合」では、フィルムが1コマずつ置き換えられていって画像が動く様子を表しています。
- 「インターレース」では、インターレース方式で、画像の帯が1本置きに置き換えられていきます。
- 「プログレッシブ」では、画像の帯が上から順番に置き換わっていきます。
- 「ずらし1コマ」では、画像の帯を置き換えるタイミングを上から順番に1コマずつずらして行っています。結果として画像がねじれていきます。
- 「ずらし2コマ」では、画像の帯を置き換えるタイミングを2コマずつずらしています。1コマずつに比べてねじれが大きくなります。
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飛行機のプロペラの映像がなぜ歪むか
ーローリング・シャッター現象ー
上記ビデオと写真は大島行きの小型飛行機のプロペラを撮影したものです。
上から下へ降りる走査線で画像を捉えた場合、プロペラなどの回転運動を撮影すると、1回転する間に、走査線が順番に線状の画像として被写体を捉えながら下に降りていくため、画像が歪む現象が現われます。
この現象をローリング・シャッター現象(rolling shutter phenomenon)と言って、フィルムでのワゴンホイール効果(N0.30参照)と同様に、肉眼での見え方と違う映像ならではの現象として知られています。
下記のムービーは三枚羽、四枚羽、五枚羽で、それぞれ1回走査が終わる度に、プロペラが1回転する場合と、2回転する場合の記録される形の違いをシミュレーションしてみました。
画面を90本の走査線に単純化し、90フレームで走査線が上から下へ画面全体を走査するように設定しています。
≪1回転で同期する場合≫
≪2回転で同期する場合≫