仮現運動
ここでは、距離的に離れた2つの画像(イメージ)が一定の間隔で、出現・消滅を繰り返すことで動きの錯覚を得られる「仮現運動」の例を紹介します。
電球と黒丸の点滅をシミュレーションしています。
「間隔」は、光源あるいは黒丸が消えている時間で、1000ms(ミリセカンド)が1秒です。
下のボタンをクリックすることで、それぞれの時間感覚で点滅を繰り返します。
ここでは、距離的に離れた2つの画像(イメージ)が一定の間隔で、出現・消滅を繰り返すことで動きの錯覚を得られる「仮現運動」の例を紹介します。
電球と黒丸の点滅をシミュレーションしています。
「間隔」は、光源あるいは黒丸が消えている時間で、1000ms(ミリセカンド)が1秒です。
下のボタンをクリックすることで、それぞれの時間感覚で点滅を繰り返します。
本文でも紹介した『映画の考古学』C.W.ツェーラム フィルムアート社刊(1977年)p-84、85に、1832年にジョゼフ・プラトーが考案した仮現運動による装置「フェナキスティスコープ」が紹介されています。
書物では、これがどう動いて見えるのかが分からないため、掲載された図版を実際に30度ずつ回転させながらコマ撮りしてシミュレートしてみました。
左の図版は、本に掲載されたフェナキスティスコープを描き起こして、アニメートしたものです。クリックするたびに反対方向へ回転します。
右の図版をクリックすると本を回転させたアニメーションを見ることができます。
ジョゼフ・プラトー(Joseph Antoine Ferdinand Plateau)はベルギーの物理学者で、残像現象を研究する中で、動く画像を得る装置フェナキスティスコープを発明しました。彼はすでに1928年に歯状円盤の装置(下図)を作り、円盤を回転させ、歯の隙間から水平にのぞいた時に、回転する歯が止まって見えることを発見していました。
これは、間欠的に隙間から見える歯はつぎつぎに入れ換わっていますが、見えた瞬間、前に見えたものと同じ位置にあるので、同じ歯が止まっているように見える現象です。
歯の一枚一枚に少しずつ形を変えた絵を描けば動きが得られるわけで、この装置の発展形がフェナキスティスコープと言えます。
なお、オーストリアの幾何学教授シュタンプファー(Simon Ritter von Stampfer)も同時期にフェナキスティスコープと同じ仕組みの装置を独自に発明して、ストロボスコープと名付けています。
街中に見られる仮現運動
街中の踏切や小路の路面で見かけるシグナルも、二つのランプが交互に点滅しているだけですが、仮現運動によってひとつの明かりが移動しているように見えます。(なお、信号機の右下の赤い矢印の点滅はビデオカメラで撮影されているためで、肉眼では点滅して見えません。これも肉眼と映像の、見え方の違いの一例です。)
仮現運動は、意識では二つの明かりが交互に点滅しているのだと分かっているにもかかわらず、ひとつの明かりが移動しているように見えてしまう現象です。
道路に埋め込まれて夜になるとチカチカ光る赤いランプも、明かりがぐるぐる回転していて、一方向から見るとそれぞれが点滅しているだけですが、複数のランプが時間的に同期した瞬間は、一つの明かりが素早く移動しているように見えます。