CGアニメーションのパイオニア達
ここではコンピュータを介在させたアニメーションのパイオニア達を紹介します。
第二次世界大戦中に暗号解読や弾道計算のためにコンピュータの開発が進みましたが、戦後さらに発展したコンピュータを使ってグラフィカルなイメージを生成する試みが始まりました。
それらはコンピュータを、単に省力化や複雑な数値計算のための道具としてではなく、情報を視覚化したり、コンピュータならではの新しい表現の可能性を探るための道具として捉えたものでした。
音楽と映像の間に類似性と相補的関係があると考え、コンピュータを使って時間とともに数式が描き出す造形の美しさを追求したジョン・ホイットニー、コンピュータ独特のメタモルフォーゼを駆使した作品を作ったピーター・フォルデス、3DCGアニメーションで無機的なものに生命と感情を吹き込んだジョン・ラセター、それぞれの作品を紹介します。
下のタイトルをクリックしてお選びください。
・『飢餓(Hunger)』ピーター・フォルデス 1973年
・『ルクソーJr.(luxo jr)』 ジョン・ラセター 1986年
・『ルクソーJr.(luxo jr)』 ワイヤフレーム・テスト
「飢餓(Hunger)」
これは、コンピュータを使った具象的なストーリー性のあるアニメーションとして最初期の作品であると同時に、人間の手作業では不可能な無機的な中割りの効果を生かした作品としても革新的なものでした。
コンピュータによる視覚的な面白さだけでなく、内容的にも、豊かな世界の人間の欲望と、そこからは見えない貧困に苦しむ世界の落差を描いて、強烈なインパクトを観るものに与えます。
フォルデスによるその他の作品
ピーター・フォルデスはコンピュータを使用する以前にも、旧来の手書きによるメタモルフォーゼを駆使した作品を手がけていました。
その一つが「鳥の食欲(Appétit d'oiseau)」1966年で、男性がライオンに、女性が小鳥になぞらえ、パブロ・ピカソの絵画を彷彿とさせるキャラクターを用いて、欲望とその暴力性を描いています。