第4章 知覚の探求とアニメーション表現

No.45

形のつながり


 

形のつながり・主観的輪郭

人は時間的にも空間的にも、物事を関連づけて認識しようとする傾向があります。
空を飛ぶ渡り鳥の群れや、海中のイワシなどの群れが動く時、我々は全体をひと塊りの形として捉えます。これはプレグナンツの法則の「共通の運命」にあたり、連動して動く事で群化が生じています。
また物の形を認識するには明度や色相、密度の差が必要ですが、一部分が欠けた形に囲まれることで、実際にはそれらの差がない均一な平面にも形が現れる現象があります。これは主観的輪郭と呼ばれ、「カニッツァの三角形」で知られています。

 

形のつながり

 

ここでは動きによって二つの正方形の関係が変化して見える例を紹介しています。
独立した動き」は、ドラッグする事で、それぞれが別々に動かせるので、動きによる関連づけは起こりません。
一緒に移動」と「一緒に傾く」は、ドラッグすると二つが一緒に動くので、あたかも青白黄のストライプの入った長方形を動かしているように見えます。また動くと、青と黄に挟まれた白い正方形は、背景の白より若干暗くなっているように感じられます。
反対方向に動く」では、一方を下げると、もう片方が上がり、二つの形が上方の滑車でつながっている井戸のつるべを動かしているように感じられます。

 
 
 
 

カニッツァの三角形

 

カニッツァの三角形は、イタリアの心理学者ガエタノ・カニッツァ(Gaetano Kanizsa)が1955年に発表し、主観的輪郭の代表的な現象例として有名です。
パックマンのように円の一部が欠けた3個の黒い扇型と、3個のV字型の線に囲まれた中央に、白い逆三角形が見えますが、実際には背景と全く同じ白色で、黒い扇型とV字型の線によって見えてきた形です。
カニッツァはこれを「刺激勾配のない輪郭」と呼んでいます。
主観的輪郭で現れた白い三角形は、背景の白より明るく手前に浮き出ているように見えますが、物理的には全く同じ明るさの白色です。

下の図では効果の違いをいくつか紹介しています。
01.03.04.は、実際には黒い扇型とV字型の線が形を変えるだけですが、背景に変化しない3個の黒い正円と1個の黒い輪郭の正三角形があって、手前の白い三角形が形を変えているように見えます

  1. 一般的に知られるカニッツァの三角形です。
  2. 扇型の円もV字型の線も、欠けた部分が繋がってj完結しているため、中央に白い三角形は現れず、背景と同じ空間として見えます。
  3. 黒い円とV字型の線の形と位置を少し変化させて曲線を作っています。
  4. 03と逆の方向に曲げています。
 
 
 
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動く主観的輪郭

カニッツァの三角形を元に、3個のグレーの円と3個の小さな黒の円を変形させたり位置を移動させたりして、動く主観的輪郭の形を作ってみました。
動くとプレグナンツの法則の「共通の運命」の効果も働き、主観的輪郭の形が強調されるようです。

 
※ 下の「三角形」「四角形」「ハート」ボタンをクリックすると、円が動いて、それぞれの形の主観的輪郭が現れます。
 
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