切り抜きアニメーション
切り抜き(Cut-Out)アニメーションは、一枚一枚描かれた一連の画像を次々に撮影するペーパー・アニメーションやセル・アニメーションと違って、動かしたいキャラクターのパーツを分解して用意しておき、それらを少しずつ動かしたり、一部のパーツを取り替えたりしながら、1コマずつ撮影していく技法です。
この技法は、限られたパーツを平面上で動かしていくため制約の多い技法ですが、逆にその制約の中で画面や動きを工夫することで、独特の面白さが出てくる可能性があります。
ここでは切り抜き技法の例として、エブリン・ランバートの技法に習った習作「残酷な鳥」と、日本を代表する人形アニメーションの巨匠、川本喜八郎が切り抜き技法に臨んだ異色作「詩人の生涯」、フランスで、独特の詩的なアニメーションを作り続けたフランソワ・ラギオニーの初期の作品「お嬢さんとチェロ弾き」をご紹介します。
下のタイトルをクリックしてお選びください。
・『残酷な鳥 - 未完成』 西本企良 1976年
・『詩人の生涯』 川本喜八郎 1974年
・『お嬢さんとチェロ弾き』ジャン=フランソワ・ラギオニー 1965年
「残酷な鳥 - 未完成」
当時、カナダNFB(カナダ国立映画局)のエブリン・ランバートの作品を、ヴュアーを使ってフレーム単位で分析し、その造形手法に習って独自の内容で作ったもので、私が初めて手がけた切り抜きアニメーションとなりました。
このアニメーションを撮影するために作った簡単なタイムシートです。
鳥の動きと蝿の動きをあらかじめ計画し、コマ撮りする度にチェックを入れていきました。