フレームごとに作画しながら撮影していく技法は、アニメーション映画黎明期からあり、当初は描いては消せる黒板にチョークで描いたものでした。(No.03 アニメーション映画の黎明期 「愉快な百面相」参照)
ここでは、撮影台の上に砂や粘土などの変形しやすい素材を乗せて、素材がわかる形で、少しずつ形を変えて動かしながらコマ撮りしていく手法を、半立体アニメーションと言っています。
また素材による立体感は感じられず、平面的な画面を描き変えながら撮影する技法をペインティング・アニメーションとしています。
どちらも、カメラの下で画像を変化させながらコマ撮りしていくという意味で、切り抜き技法に準じていますが、素材による独特の存在感が現れ、メタモルフォーゼなどの不思議な動きが可能となります。
(ペインティング・アニメーション例として、No.55「マクラレンとNFB」で紹介しているキャロライン・リーフの作品もぜひご覧ください。)
ここでは、素材としてビーズ玉を使ったイシュ・パテルの『ビード・ゲーム』と、粘土を使ったエリオット・ノリスの「The Fable of He and She」を取り上げています。
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「残酷な鳥 - 未完成」
この作品は、切り抜き(カットアウト)の技法を研究するために、私(西本)が、武蔵野美術大学助手時代に、16ミリフィルムで制作した試作アニメーションです。
当時、カナダNFB(カナダ国立映画局)のエブリン・ランバートの作品を、ヴュアーを使ってフレーム単位で分析し、その造形手法に習って独自の内容で作ったもので、私が初めて手がけた切り抜きアニメーションとなりました。
タイムシート例:
このアニメーションを撮影するために作った簡単なタイムシートです。
鳥の動きと蝿の動きをあらかじめ計画し、コマ撮りする度にチェックを入れていきました。