第4章 知覚の探求とアニメーション表現

No.47

いろいろな錯視


 

錯視について

我々は本能的に、視覚や聴覚、触覚、嗅覚などの感覚と過去の経験・知識などを駆使して環境世界を捉えていて、そのおかげで安全に活動ができていますが、必ずしも物理的世界をすべて正確に把握しているわけではありません。ギブソンが言うように、眼の網膜に映る像は平面で、刺激として受けとるのは世界のほんの一部であるにもかかわらず、我々は恒常的な立体的構造を持つ環境を感じとっています。
それは 網膜に映る像を脳内で合理的・効率的に処理するシステムのおかげであり、普段は環境世界のイメージをかなり正確に捉えることが出来ています
しかし特殊な図形を見たときに、そのシステムゆえに実際と違った捉え方をすることがあり、その視覚的な錯誤を錯視と言います。

 

いろいろな錯視

これまでも人間の視覚の習性について触れてきましたが、ここではさらに代表的な錯視現象をいくつか紹介したいと思います。
「ミューラー・リヤー錯視」や「ザンダー錯視」など、よく知られた現象もありますが、錯覚だと分かって注意深く見ても実際とは違って見えてしまう不思議さ、面白さがあります。
それぞれの錯視現象を、できるだけ自分で試して効果を確認することができるようインタラクティブな仕掛けを作ってみました。
※ 各錯視につけた「解説」も合わせてご覧ください。

 
 
 
 
 
 
インフォメーション・アイコン

ナイトポリス

No.24「硬さ・柔らかさ」で紹介した反アフォーダンスの車止めも、人間の過去の経験による認知の習性を逆手に取ったデザインですが、ドライバーに注意をうながす道路標識にも錯覚を利用したユニークなものがあります。
下記の例は、最近の幹線道路脇にどこでも見かける「ナイトポリス」と呼ばれる看板です。
昼間はあまり目立ちませんが、夜に自動車のヘッドライトに照らされると、文字情報は消え、あたかも警察官が立っているように見えて、文字情報以上の効果があるようです。

 

錯視に関するサイト

このサイトでもいくつか錯視を取り上げてインタラクティブな仕掛けで紹介していますが、ネット上にはさらに詳しい情報が得られるサイトがあります。
錯視に興味を持たれた方は下記のサイトも参考にしていただければと思います。

「イリュージョン・フォーラム」
NTTコミュニケーション化学基礎研究所人間情報研究部の竹内龍人氏が立ち上げ、運営しているサイトです。
錯視だけでなく、錯聴(聴覚に関する錯覚)や錯触(触覚における錯覚)なども取り上げています。
インタラクティブな操作で体験的に理解できるムービーと分かりやすい解説で、錯覚について広く学ぶことができます。

 

「錯視の科学館」
東京大学大学院数理科学研究科教授の新井 仁之(あらい ひとし)氏のサイトで、新井仁之氏と新井しのぶ氏の研究成果を紹介しています。
独自の自動生成アルゴリズムを使って作成した錯視や逆に錯視の効果を抑えた作品など、多くの応用例と丁寧な説明で興味深い内容だと思います。

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