第1章 アニメーションの原理

No.10

ペーパー・アニメーションとセル・アニメーションについて


ペーパー・アニメーション

ペーパー・アニメーションは、一枚一枚の紙に背景も含めた動画を描いて、それを撮影、あるいはスキャンしてアニメーション作品とします。
従って背景がなかったり、非常に単純な線の背景である場合が多くなります。 映画誕生初期のアニメーションは、ウィンザー・マッケイの「恐竜ガーティ」(No.3「アニメーション映画の黎明期」で紹介)は、ペーパー・アニメーションで背景の線もピリピリ動いているのが特徴的です。
マッケイも間もなく透明なセルを使い、背景とキャラクターを分けて作画する技法を取り入れますが、シンプルながら力強い動きの効果は独特で、ペンタブレットで直接コンピュータに画像を取り込むようになっても、ペーパー・アニメーション的な技法の作品は生まれています。
下のタイトルをクリックしてお選びください。

・『シジフォス(Sisyphus)』 マルセル・ヤンコヴィッチ 1974年

・『ブラック・ドッグ・プログレス(The Black Dog Progress)』スティーブン・アーウィン 2008年

・『風(A szél)』チャバ・ヴァルガ  1985年

※ ここでのムービーは、YouTubeにリンクして表示しています。YouTubeで削除された場合は表示されないことがありますが、その場合はご容赦ください。  

セル・アニメーション

セル・アニメーションは分業化が可能で、プロダクションシステムの元、フィルムの時代から最も大量に作られたアニメーション技法です。現代では、セルにトレースして彩色することはなくなりましたが、分業システムは残っていて、スキャンしたり、ペンタブレットで描いた動画を元にパソコン内で彩色・編集して、アニメーション作品に仕上げます。
ここではセル・アニメーションの工程と歴史を説明した動画を紹介します。
下のタイトルをクリックしてお選びください。  

・セル・アニメーションプロセス

・History of Cel Animation

※ ここでのムービーは、YouTubeにリンクして表示しています。YouTubeで削除された場合は表示されないことがありますが、その場合はご容赦ください。  
ムービー情報・アイコン

「シジフォス」

Image

ハンガリーの巨匠マルセル・ヤンコヴィッチ(Marcell Jankovics)がギリシャ神話をベースに制作した作品で、第48回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされました。
神を欺いたことで、永遠に大きな岩を山頂に運ぶ罰を受けた男シジフォスが、懸命に押し上げる様子を、躍動感あふれる動きと音声で描いています。
極端に単純化されたフォルムは、筆で一気に描かれたような力強さを感じさせます。

◆ ヤンコヴィッチのその他の作品 ◆

(URLをクリックすると新規タブでYouTubeのページが開きます)

・「The Struggle (Küzdők)」1977年
https://youtu.be/-h8UZUB2BVo
彫刻家が懸命に作品を作る様が、彫刻家と作品の格闘として描かれます。  まさに身を削るようにして作品が出来上がります。

・「Son of the White Mare (Fehérlófia)」1981年 長編-1時間33分
https://youtu.be/ZFPXxSZbWJs(抜粋です)
ハンガリーの伝説を元に作られた冒険譚です。 白いメス馬から産み落とされた息子が、世界を支配する邪悪な人型ドラゴンを倒すため巨木の下の冥界に降りていきます。 非常に洗練されたデザインと動きで、神話的な世界が鮮やかに描かれています。

・「The Tragedy of Man」 2011年 長編-2時間23分
https://youtu.be/0eSdOPcHum8(予告編です)
エデンの園を追われたアダムとイブが、ルシファーに導かれて、石器時代から未来までの人間世界を旅していく壮大な物語です。 時代ごとに絵柄が変わり、象徴的で実験的なイメージが展開されます。

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