フェナキスティスコープの仕組み
No.01「フェナキスティコープと仮現運動」でも簡単に紹介しましたが、フェナキスティスコープは19世紀前半に発明された動く絵を作り出す世界で初めての装置です。
円盤上に並べられたポーズの違う絵を鏡に映しながら、回転する円盤のスリット越しに覗くと絵が動いて見えます。
これは非常にシンプルな構造ですが、そのシンプルさゆえに、簡易な玩具として人気を博し、現在も商品として売られています。
ここではその仕組みをシミュレーションした、インタラクティブなムービーで説明します。
フェナキスティスコープ(Phenakistiscope)
左の画像は、目とフェナキスティコープと鏡の関係を表したものです。
中央の黒い円盤がフェナキスティスコープで、鏡には黒い円盤の裏側に描かれた絵が写っています。
目は黒い円盤に開けられた細いスリット越しに絵を見ています。
※ 下のムービーは仕組みを解説したものです。透明度ボタンをクリックすることで黒い円盤の透明度を変えることもできます。
フェナキスティスコープとゾートロープの違い
ゾートロープは、フェナキスティスコープから約2年後の1834年にウィリアム・ホーナー(William George Horner)によって発明されました。
スリット越しに覗き見ることで、見える絵が次々に置き換わり、動きのイメージを得ることができるという点で、どちらも原理的には同じ仕組みです。
ただ、ゾートロープは、スリット部分が立体的に立ち上がるという構造的な違いによって、鏡を必要としませんし、装置を取り囲む複数の人が覗き見ることができます。
またゾートロープは、帯状の絵を置き替えるだけなので、比較的簡単に別の動画を見ることができますし、フェナキスティスコープが逆三角形の画面に動く絵を描かなければならないのに対して、ゾートロープは直方体の画面に描くので作画も容易です。
しかし、フェナキスティスコープの方が持ち運びが簡単で、円盤状の絵が同時に動くことで、マンダラ的な動きの面白さが生じるというメリットもあります。