ゲシュタルト心理学について
ひとつの図形のように個々の要素の総和以上のまとまりのある形態をドイツ語でゲシュタルト(Gestalt)と言い、ゲシュタルト心理学では、知覚は単に対象となる物事に由来する個別的な感覚刺激によって形成されるのではなく、それら個別的な刺激には還元出来ない全体的な枠組みによって大きく規定される、と考えられています。
ウェルトハイマーは、人間がゲシュタルトを知覚するときの法則について考察し、「プレグナンツの法則(law of prägnanz、プレグナンツとは「簡潔さ」の意)」を示しました。
ここでは、その内、グラフィカルな要素を整理する上で特に重要でよく使われる六つの法則を紹介します。
プレグナンツの法則
近接の法則:
相互の間隔がより小さいもの同士がグループとしてみえます。
類似の法則:
大きさや色など、同じ視覚的属性を持つものは、同じグループとして見えます。
閉鎖の法則:
互いに閉じあっているもの同士はまとまりとして認識されやすくなります。
良い連続の法則:
なめらかな曲線(またはまっすぐな直線)として連続しているものは一体化して見えます。
取り囲みの法則:
取り囲まれた要素群は、同じグループとして認識されやすくなります。
結合の法則:
線などで繋がれた要素同士は、一つの塊として認識されます。
※ 下図の左のボタンをクリックすると、それぞれの法則に従ったグループにに見えます。
ブレーンストーミング風景
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科の情報デザインの授業風景です。
テーマに沿ってグループ内でアイデアを出し合い、それらを付箋に記入し、整理して行きます。
さらに付箋をホワイトボードに貼りだし、関係を記述することで、全体を俯瞰し、問題点を共有して、解決策を探ることができます。
コロナ禍を経験した現在では、Microsoft Whiteboardなど、オンラインで仮想のボードを共有し、それぞれのパソコン端末から付箋の作成・移動・貼り込み・削除などができるサービスも普及しましたが、内容的には旧来のホワイトボード機能を発展させたものです。
ホワイトボードには、色のついた付箋にアイデアが簡潔に記入され、カテゴリーごとにまとめられます。
また、それらのまとまりを線で囲って、矢印の線で繋がりが示されます。
ここでは、近接、類似、連続、囲み、結合などのプレグナンツの法則に則ったまとめ方が見られます。