第3章 アニメーション表現の可能性

No.37

映像でのリピート表現


 

映像でのリピート表現

第2章「タイミング技法」でも繰り返し表現について触れましたが、ここでは単に省力化やデータサイズの軽量化のためではなく、繰り返す(リピートする)ことによる表現の可能性を広げた映像作品を紹介します。
音楽でのカノン形式の面白さを視覚的な表現に置き換えたものや、ミニマル・ミュージック的なもの、短い動きのフリップ・ブックを組み合わせたものなど、多様な展開が見られます。
※ 下のアイコンをクリックしてご覧ください。

CanonIconカノン(Canon)』ノーマン・マクラレン 1964年
フランケンシュタインの恍惚』J・シュヴィッツゲベル 1982年
※ 上記ムービーは、YouTubeにリンクして表示しています。YouTubeで削除された場合は表示されないことがありますが、その場合はご容赦ください。  
 
 

学生作品

武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科での私(西本)の授業ではリピート表現を用いた短いアニメーションを作る課題を出していました。
そこで提出された作品をいくつか紹介します。
「もり」 森の中で登場する動物がそれぞれ関連した動きを繰り返しながら増えていきます。
「無題」01. ロボットのような機械的な動きをする人物が、互いの頭を取り替えたり体操したりしますが、タイミングが少しずつずれていて、波のような動きが現れます。
「蝿」 男の周りを飛び回るハエが、鼻の穴や耳の穴から出入りし、追い払おうとする男を苦しめます。
「Repeat Men」 3階層に分かれたフロアーに男たちが現れ、ボーリングの球を投げたり穴を掘ったりします。繰り返される動きが関連して賑やかな画面になります。
「無題」02. 工場の作業台で組み立て作業をする人たちが、頭を取り替えて帽子をかぶせる循環運動を延々と繰り返しています。
「無題」03. 単純な形からできた三人の人物が同じ動きを繰り返しますが、カノンのようにずれて組み合わされることで、優雅な踊りを披露します。

※ 下のサムネールをクリックしてご覧ください。

 
インフォメーション・アイコン

その他のリピート表現例

このページ内でなく、YouTubeのウィンドウでご覧いただける作品です。

01.「深淵への旅(La course à l'abîme)」
02.「タンゴ(TANGO)」
03.「LetForever Be」
04.「StarGuiter」
05.「SugerWater」
06.「ComeIntoMyWorld」
07.「TheHardestButtonToButton」
08.「レペテ(Repete)」
09.「リボルバー(Revolver)」
10.「風(A szél)」
11.「The Black Dog Progress」

各作品の紹介記事の下のURLをクリックすると、別ウィンドウでYouTubeのページが開きます。

下の矢印をクリックすると作品が切り替わります。

『La course à l'abîme』1992年

監督:ジョルジュ・シュヴィッツゲベル(Georges Schwizgebel)スイス

疾走する馬上の二人からはじまり、ボストン交響楽団の奏でるベルリオーズの音楽に合わせて、さまざまなイメージが展開します。巧みに構成されたリピートする画面をカメラが回るように移動していき、最後にトラックバックして大団円を迎えます。

「Two riders on galloping horses; they disappear, then reappear alternating with other animated images moving to the same rhythm as their own.(疾走する馬上の二人。二人は、そのリズムに合わせて動く他のイメージたちと交互に、消えては現れます。)」(作者のコメント)

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