第1章 アニメーションの原理

No.15

スリット・アニメーションの仕組み


 

スリット・アニメーションの仕組み

 

本や動くオモチャとして、ミュージアムショップなどで市販されているスリットアニメーションは黒い縞模様(ストライプ)の隙間(スリット)から見える画像が切り替わることで動きが現れます。
ここではその仕組みをインタラクティブなムービーで説明しています。
ストライプをドラッグすることで動きが現れます。
ストライプの明度や色相を変えると、画像が不鮮明になったり、色味が変わって見えてしまいますが、これは色の膨張効果や同化現象が影響しています。
ボタンをクリックしてご覧ください。

 
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色の同化現象

ここでは色相、明度、彩度の3種類の同化現象について具体的に説明しています。
私たちはいろいろな色に囲まれて生活していますが、それぞれの色が影響しあっているため、我々が見ている色は相対的な見え方をしているといえます。

※下の左右の画像をクリックすると、それぞれの色のストライプが現れます。
また黒い帯の左右の矢印をクリックすると、同化の種類が選べます。

 

この画像の顔の色はグレーですが、赤色の細かいストライプの隙間から見える顔色は赤みが増して肌色に近くなります。
また青色のストライプ越しに見た時は、顔色は青みがかって紫色っぽく見えます。
これはストライプの色相の影響を受けて、その隙間から見える色味もストライプの色相に引き寄せられる現象です。
店頭に並ぶミカンを詰めた赤いネットの袋も、中のミカンが少し赤みがかって美味しそうに見せる効果がありますが、これも色の同化現象を利用しています。

色の膨張現象

「色の膨張現象」は明度が高い色は膨らんで見え、逆に明度が低い色は縮んで見える現象です。
ストライプが黒い場合はスリットから覗く明るい色は膨らんで太く見えますが、それが白い場合は逆にストライプが太くなり、スリットは細くなります。
そのためストライプが黒い方が下の画像がくっきり見えるようになります。
一般にスリットアニメーションのストライプの色が黒いのはこの効果を用いるためです。

※下のストライプボタンをクリックするとストライプが現れ、 「→ 白」と「黒 ← 」のボタンをクリックすることで明度を変化させることができます。
ストライプの帯の幅とスリットの幅は5対1になっています。

 

スリット・アニメーション例

市販されているスリット・アニメーションの製品を実際に動かした動画です。
上の製品は透明な定規の厚さを利用して、表面に黒いスリット、裏面に動きを合成したイラストが印刷されています。
また下の製品は本の形で、ページに黒いストライプが描かれた窓があいていて、その裏に動きを合成したイラストが挟まれています。ページを開くと、スリットは動きませんが、動きを合成した下のイラストだけが左右にずれて、動いているように見えます。

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「オンブロシネマ」

1915年ごろにフランスで作られた「オンブロシネマ」と名付けられたスリット・アニメーションのオモチャです。
上が装置の正面、下が裏から見た写真です。
この装置は紙のロールを巻きとって動かす仕組みになっていて、柵の格子がスリットとして機能しています。
裏から見えるロール紙に書かれた絵は二つのポーズが合成されていて、正面から見ると二つの絵が交互に切り替わり、画面を慌てて駆けぬけていく人たちのアニメーションになります。

1992年 第四回広島国際アニメーションフェスティバル 
ベルギープレシネマ展 パンフレットの図版を引用
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