Appendix
プロフィール・その他
- マウスデバイス
マウスオーバー・マウスアウトで文字が動いたり止まったりし、クリックすると飛び跳ねます。 - タッチデバイス
タッチすると動き始め、再度タッチすると飛び跳ねて動きが止まります。
このサイトについて:
このサイトでYouTubeにリンクしたアニメーションは、筆者(西本)が武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科の授業で、学生さんたちに紹介した内外のアニメーション作品のうち、現在YouTubeなどで観ることのできる作品を主に取り上げています。また原理的な説明ムービーの大部分は、私自身が授業のための教材として制作したインタラクティブなムービーを現在のブラウザでも再生できるように改変したものです。
事前にできるだけ動作確認などの検証はしたつもりですが、使用するデバイスやブラウザの違いなどで、読み込みに時間がかかったり、反応が遅かったりする部分があるかもしれません。
また当サイトは、今後も情報を更新したり新たに追加して、徐々に充実させて行ければと考えています。
何か新しい情報やお気付きの点、疑問点などありましたら、下記メールアドレスまで 気軽にご連絡いただければ幸いです。
本サイトのメールアドレス:contact@killanim.com
プロフィール
略歴:
- 1951年
- 山口県下関市生まれ
- 1970年
- 山口県立下関西高等学校 卒業
- 1975年
- 武蔵野美術大学 造形学部 産業デザイン学科 商業デザイン専攻(現、視覚伝達デザイン学科)卒業
- 1977年
- 武蔵野美術 大学視覚伝達デザイン学科 助手就任
- 1981年
- 同学科 助手退任
- 1982年
- フリーランスのアニメーターとして活動開始〜2005年まで
- 1985年
- 武蔵野美術 大学視覚伝達デザイン学科 非常勤講師就任
- 2005年
- 同学科 教授就任
- 2022年
- 同学科 教授退任
フリーランス・アニメーターとしての仕事歴:
- 1982年
- 「キャンディ・ファンタジア」篠崎製菓CM(部分)
- 1984年
- 「プロローグ」つくば科学万博三菱未来館展示用アニメーション
- 1985年
- 「人間の仲間たち」つくば科学万博三菱未来館展示用アニメーション
- 1986年
- 「ライオン家族」東一証券CM
- 「ツネコちゃん」朝日新聞CM(原画:玖保 キリコ)
- 1987年
- 「海底牧場と海中公園」神戸海洋博物館展示用アニメーション
- 「鯉の恩返し」広島鯉城タクシー
- 1988年
- 「動物園に行こう」CD-Iマルチメディア デモ用アニメーション
- 1989年
- 「自分原人」日本システムウェアCM(原画:都築潤)
- 1990年
- 「さわってごらん」花と緑の博覧会 政府館 展示用アニメーション
- 「神さまのがまんくらべ」姫路文学館展示用アニメーション
- 1991年
- 「あいうえお」 CD-Iマルチメディア教育ソフト
- 1992年
- 「おさん狐」山口県福栄村PRビデオ用アニメーション
- 「名主の語る村」横浜歴史博物館展示用アニメーション
- 1993年
- 「自然クイズ」CD-Iを用いた日光博物館展示用マルチメディアソフト
- 「丸いお尻が許せない」KANプロモーションビデオ
- 1995年
- 「戦場ヶ原の神戦物語」日光博物館展示用アニメーション
- 「カッパ」関宿民族博物館展示用アニメーション
- 日本TV「所さんの目がテン!」解説用アニメーション(〜2005年まで)
- 1996年
- 日本TV「ズーム投稿ビデオ大賞」コーナータイトルアニメーション(〜2001年まで)
- 1999年
- 「私塾長善館の一日」「正月行事に集う人々」新潟歴史民族博物館展示用アニメーション
- 2000年
- 「IDO」携帯電話電子メール用アニメーション(キャラクター:日本移動通信株式会社スタッフ)
- 2002年
- 「Dear My Friend - GATS」GATSプロモーションビデオ
叔父、三輪享良について:
母の弟、三輪享良から直接は絵画、芸術に対する教えを受けたことはありませんが、彼の音楽や絵画に対する活動を側で見て育ったことは、私の進む方向に少なからぬ影響があったと思います。
この機会に叔父 三輪享良と彼の作品を紹介したいと思います。
下村千早先生について:
下村千早先生は私(西本)が武蔵野美術大学に入学したとき、まだ着任したばかりで若く、新しいデザイン教育に精力的に取り組んでいました。
入学前の高校や予備校での美術・デザイン教育とは全く異なる大学ならではの授業内容は大変面白く、学ぶことが多々ありました。
下村先生の教育・研究活動の一端を紹介したいと思います。

浦山桐郎監督について:
浦山桐郎監督は「キューポラのある街」「私が棄てた女」などの作品で著名な映画監督ですが、私(西本)が大学4年時には非常勤講師として映像の授業を担当されていて、映画の基本を教えるだけでなく、その強烈な個性で、受講生たちに大きな影響を与えていました。
浦山桐郎監督の作品と生涯については多くの書物や映像で語られていますので、ここでは大学での教育面での活動の一端も交えて紹介したいと思います。

CD-Iマルチメディアについて
1986年、市場には音楽のためのコンパクトディスク(CD)のみで、まだDVDディスクが発売されていない時代に、オランダのフィリップス社によってCompact Disk Interactive(CD-I)というメディアが開発されました。
これは既存のCDに文字・画像・映像・音声のデータを記録し、インタラクティブに再生できるようプログラミングされたものでした。
これを再生するためには、専用のCD-Iプレーヤーが必要で、日本では1992年に発売されましたが、すでに家庭用ゲーム機が開発されていて、光学ドライブを採用したセガ・サターン(1994年)やSONY・PlayStationなども発売され、苦戦を強いられた後、1998年撤退に至りました。
しかし、CDという非常に限られたデータ量と処理速度という制約の下で、インタラクティブなアニメーション表現に挑戦できたことは、私(西本)にとって貴重な経験になりました。
CD-I「あいうえお」は1992年に発売されたCD-Iディスクで、4〜6歳向けの知育ソフトとして電子メディア・サービス(株)のプロデューサー、千葉雅哉氏の下で制作され、AVAマルチメディアグラプリ・教育アプリケーション賞を受賞しています。
私が関わった部分から、一部抜き出してムービーとして紹介します。
授業について
私は武蔵野美術大学を卒業後、同大学視覚伝達デザイン学科で助手として勤めた後、フリーランスとしてアニメーション制作の活動をしながら1985年から非常勤講師として、また2005年から2022年まで専任の教員としてデザイン・アニメーション教育にも関わってきました。
ここでは私が関わった1年生へのデザイン基礎教育、2〜3年生へのアニメーション・情報デザイン教育、4年生へのゼミの内容を簡単に紹介したいと思います。
その後、授業はその流れを受けつぎながらも少しづつ変化していきましたが、ここでは、2007年度の授業を簡単に紹介します。(担当は、陣内利博教授、斎藤啓子教授、荒川真樹講師、西本企良教授)
- ①「造形による対話」
- 「線」をテーマに、身体を通したコミュニケーションの中で感じ・考える、ワークショップ形式の授業。
- ②「色彩を感じる」
- 色彩の基礎を学び、グループごとに色に関するテーマを設定し、調査・考察した内容を発表する。
- ③「空間を記述する」
- グループごとに大学構内の「気になる場所」を見つけ、調査し、独自のアイデアを盛り込んで「空間の記述」としてプレゼンテーションを行う。
3週間の授業の内、私は前半を担当して、グループ内で意味のある単純な形を作成し、その形を他のグループに、図を使わず言葉と記号だけの情報(スクリプト)で伝えて、正確に再現してもらえるかを実験で確かめる課題を考案し課題A(形をつくる、形を伝える)としました。
これは情報デザインのユーザーテストの手法を参考にしたもので、実験でスクリプト情報の伝わる様子を観察し、観察結果を元にスクリプトを修正しながら完成させるというものです。
同時にこれは、あえて図を使わせないことで、逆にグラフィカルな表現がいかに効果的な伝達手段であるかを実感してもらう意図もありました。
及部克人教授について
1年生の複合授業で担当した「空間構成」では、手のシンボリックな側面を考察し、手による行為を立方体の粘土の中に記録し、それをスライスしながら板紙に写しとり、さらに切り抜いて重ねて積層体に置き換える課題を考案しました。(「作品例」 → 「積層体」参照)
また他学年では、受講生たちが段ボールを使って独自のデザインで制作した全身で遊べる大きな遊具を幼稚園に持ち込んで子供達の遊ぶ様子を観察し、そのデザイン性を検証する授業、演劇的手法を取り入れて地域社会とつながる場を作るワークショップ「小さな夏休み」など、非常にユニークで環境デザイン教育の先駆けとなる活動を精力的に展開されました。
その活動・理念はのちの教育者にも引き継がれ、現在も視覚伝達デザイン学科の授業に反映されています。
名称はその後、学年のカリキュラムの関係で「映像デザイン1B」や「モーションイメージ演習」などと変化しましたが、基本的に映像表現の基礎を学び、、アニメーションや実写映像の特性を生かした短い作品を作ってみる内容でした。
ここでは広島を始めとする世界の短編アニメーションフェスティバルで発表されたようなユニークなアニメーションを紹介して、アニメーション・メディアの可能性に対しての認識を深めてもらうことも行いました。
また1996年からはフィルムからパソコンでの作品制作に切り替え、複雑な繰り返しやモーフィング(変形)といったコンピュータの利点を生かした表現手法も積極的に取り入れていきました。
管理人がすべての部屋を監視する不思議なアパートの物語です。
画面分割された各部屋が繋がっていて、管理人がその位置を自由に変えたり部屋を揺らしたりして支配します。
「コンピュータ・アニメーション」といえば立体的な画像が動く3D.CGを連想しますが、ここでは3D.CGではなく、タッチセンサーやサウンドセンサー、光センサーなどの入力装置を使って、人の行為に反応するアニメーションを意味します。
当時マルチメディアのアプリケーションとして人気のあったMacromedia.Directorの「LINGO」というプログラミングソフトを使って、簡単なゲーム的な作品が作られました。これはその後インターネットの時代になると、Flash(現:Adobe Animate)というアプリケーションの「Action Script」を使うようになりました。
この授業は、情報デザインの基礎的理論を学ぶだけでなく、ユーザビリティの実験を通して体験的に考え、また日常生活で遭遇するデザイン的な問題点も探り出し解決法を模索する本格的なものでした。
授業を立ち上げられた下村先生が定年で退任された後も、後藤先生と一緒に引き続き担当しましたが、その内容は下村先生の退任記念誌「インフォメーション+セミオティクス+デザイン(Information + Semiotics + Design)」と、私が退任するまで続いた授業サイト「VCD情報デザインをめぐって」で具体的にご覧いただけます。
また並行して内外の映像作品の鑑賞やNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]やジブリ美術館などの見学を通して視野を広げてもらうことも行いました。
その後受講生達は、前期での作業を踏まえて、夏休みから後期にかけて卒業制作に取り組みました。
オリエンテーションでの配布プリント抜粋:
・2009年度「UNIMATION」作.清水愛子(No.42「インタラクティブな表現」)
・2017年度「思い込みの絵本」作.山口菜摘(No.38「文学・絵画での変形」)
ここでは、私が担当した最後の年、2021年度の卒業制作からアニメーションを使ったインスタレーション作品を二点ご紹介します。
ICC(NTTインターコミュニケーション・センター)
三鷹の森ジブリ美術館
作品例
ここでは私(西本)の学生時代からこれまでの作品を、自主制作のものを中心にいくつかご紹介します。これまでの章で取り上げた作品と重複する部分もありますが、ご容赦ください。
metamorphoses(1974年)
私が大学3年生の時に、フィルムデザインという授業があり、そこで出された「トランスフォーメーション(変形)という課題に答えて作成した作品です。
これは私が初めて制作したアニメーションで、一枚一枚、動画用紙に動きを描いていき、黒い部分はマジックインキで塗りつぶしています。当時は錯視の表現に強い関心を持っていて、課題作品に応用してみたものです。
積層体 - Laminated Structure (1981年)
私が視覚伝達デザイン学科の助手時代に手掛け、退任後一年間をかけて完成させた作品です。
当時、学科では一年生への複合課題として「手」をテーマに出題し、人間の手を機能的、造形的、文化的側面から考察して、平面構成、色彩構成、製図、エディトリアルデザインへと展開していました。そこでは粘土で立方体を作り、その立方体に手を入れて動かし、その行為によってできた穴をスライスしながら紙に転写して、ボール紙に移し変えて積層立体として再現するという課題がありました。
その課題で提出された形を素材に、動く造形としてアニメーション化したものが本作品です。
「積層体」の元となった複合課題「手」は、下記のプログラムで展開されました。
- プログラム1 粘土への行為または行為の軌跡の粘土による実態化の作業15㎤の立方体を粘土でつくり、それに手による働きかけー掴む、突く、握る、等を行う。あるいは日常の手の行為のある軌跡を実態化することでも良い。
- プログラム2 積層体への変換
変形され、あるいは穴のあいた粘土を5㎜ごとにスライスし、各々を図面として記録し、板紙による積層に置き換えられる。これを切り抜く作業で、ネガとポジが得られる。おのおのを積層としてのりづけすると手の連続的移動の軌跡としてのポジと、それをとりかこむ空間のネガの二つの実態を見ることができる。 - プログラム3 構成と色彩
解体された断面図形の平面へのy投影は、いくつかのシステムに従って配置され、さらにそれらは組み替えられ、変形される。そして、いくつかの基礎的な構造に関係づけられた色彩が重ね合わされる。
↑ 2080年版 複合課題「手」の冊子
左下の解説文には「握手:『て』を中心的テーマにしたデザインの基礎実習の習作から。手の行為やその軌跡の形体を可塑性の粘土でとらえる。粘土のネガティブな手の実体を切断して、積層体の空間の手に変換する。」とあります。
↑ 複合課題「手」で提出された作品例
ウォーラス(未完成作品)1980年
私が助手時代に作りかけ、『積層体』と並行して作業していたのですが、『積層体』を優先したため、未完成に終わった作品です。
当時ビートルズの音楽に魅せられていて、ジョージ・ダニングの『イエローサブマリン』よりも深いイメージのミュージック・ビデオを作りたいと意気込んでいました。未完成のため、音楽が途切れたりして、見苦しい点は多々ありますが、作ろうとしたイメージは伝わるのではないでしょうか。
ビートルズのアルバム「マジカル・ミステリーツアー」から「I am the walrus」の曲に合わせて展開させています。
紙に色鉛筆で描いたキャラクターを切り抜いて、セルに貼り付けたものを置き換えながら撮影していきました。
つくば万博-科学する眼(サイレント)1985年
1985年つくば万国博覧会において、三菱未来館の入り口のモニターにエンドレスで流されていたアニメーションです。 ジェット機に乗ったニュートンの落としたリンゴがスペースシャトルになり、太古に遡って、古代魚から恐竜、恐竜からワシ、ワシからジェット機へと変化していきます。
笑う月-Laughing Moon 2000年
黄色い円と黒い正方形を分割した計12個の幾何形態が組み合わさって、いろいろな物にメタモルフォーゼを繰り返すアニメーションです。
ミニマルな要素でどういう表現が可能なのかを試した作品です。
No.52とNo.53で、少し詳しく紹介しています。
大きいゴジラ、小さいゴジラ 2023年
2014年に川越美術館で開催された『大きいゴジラ・小さいゴジラ展』の展示物のひとつとして、武蔵野美術大学構内でコマ撮り撮影したアニメーションに、2023年、新たにタイトルとサウンドを加えて完成させた作品です。
2011年の東日本大震災と福島原発事故の記憶が、まだ生々しい時期に開かれた展覧会でした。
大きな教室の黒板に、チョークを使い、消しては描く作業を繰り返して、アニメーションのカットを制作しました。
ポーズと色の違うゴジラの絵を貼り付けた透明なグラスを15個用意し、それぞれのグラスを置き換えながら撮影して、全てのゴジラがグラスの周りを歩くようなアニメーションにしています。
あとがき・補筆
ロゴマークについて:
上のロゴ「A?A!」は、「Animation? Animation!」の頭文字で、既成のフォントを置き換えて動きを作り、インタラクティブなアニメーションにしたものです。 書籍「アニメーション 想像をいざなう形と動き」(及び当サイト)では、アニメーションの原理とそれを踏まえた装置、またリピート表現やメタモルフォーゼなど、アニメーションのメディアとしての特性、それらを活用した短い映像作品を主として紹介しています。
したがって、このロゴは、一般のメディアで人気のある、キャラクターや物語性を重視したアニメーションとは異なる世界を扱っているという意味で、「これもアニメーション? これがアニメーション!」というメッセージを込めたものです。
アニメーションの歴史と可能性について:
当書籍でも述べていますが、歴史を俯瞰すると、アニメーションは19世紀前半にすでに発明されていて、その原理と幻灯機、写真の技術が合体されて19世紀末に映画が誕生しました。
映画が発明されると、まず実写の映画が爆発的に世界を席巻し、実写映画が本来の映画で、アニメーションは映画の特殊な一分野という位置づけとなりました。
アニメーションも当初は短い繰り返しの動きであったり、特殊効果の一部として用いられていましたが、すぐに映画のメカニズムの利点(長尺のフィルムや自動シャッターによる正確なフレーム再生、等々‥‥)を使ってアニメーション独自の技術を発展させて行き、実写と合成する形でリアルな人形アニメーションが用いられたり、長編のアニメーションを制作するシステムの構築なども行われました。
それは静止した画像を連続投影して動きのイリュージョンを生み出すアニメーションの原理を踏まえながら、背景と動くキャラクターを分けて構成することや、動きを分解して合理的に作画する工夫などを通して、人間の視覚(知覚)の特性を探ることにもつながります。
さらに20世紀後半、映画制作にコンピュータが導入されると、映像技術は急速に発展し、3DCGを使って実写と見紛う映像が得られるようになりました。
また同時にコンピュータを用いて実写映像が加工されることも一般的になり、写真や実写映画のインデックス性(対象をそのまま写し取る性質)に揺らぎが生じるに至っています。
アニメーションの原理は、「わずかに位置のずれた静止画像を、短時間に次々に切り替えると動きのイリュージョンが現れる」という極めて単純なものだけに、その原理を用いた技術には汎用性があり、様々なメディアに展開される可能性があります。
したがって、そのアニメーションの原理とその基になる人間の知覚の特性を知り、過去の面白い作例を分析することは、新たなアニメーション作品、アニメーションのユニークな使われ方を考案する上で、非常に重要なことだと考えています。