タングラムとの違いについて
タングラムは、正方形を7つのパーツに分割してできた図形を組み合わせて、動物や身の回りの物など、色々な形を作って遊ぶパズルの一種です。
ここで紹介するアニメーション「笑う月」も、正方形を分割した図形が組み合わさって展開する点で、タングラムとの共通点がありますが、一般のタングラム作品が、図形どうしを接する形で組み合わせて、ひとつの意味のある塊を作るのに対して、「笑う月」は動きを伴うため、プレグナンツの法則でいう「共通の運命」効果で、離れた形も一体と見なされて、かなり自由な造形が可能になります。
「笑う月」
No.52では、授業のための教材用に制作したインタラクティブな作品「見立てのアニメーション試作」を紹介しましたが、「笑う月」は、その中から、12分割のパートを取り出し、新たな場面を加えて、ストーリー性のある一本の映像作品として完成させたものです。
正方形が砕けて出来た10個の黒い幾何形態が組み合わさってメタモルフォーゼを繰り返し、黄色い月を追いかけるナンセンスなストーリーが展開します。
2000年制作 06'07"
2002年 メディアシティ・ソウル国際アニメーション映画祭 短編部門グランプリ受賞
「Starting Stories」
- A film and literacy resource for three- to seven-year-olds -
数本の短編アニメーション作品をとりあげて、3〜7歳の幼児に映像リテラシーと共に言葉や文章のリテラシーも教えるための教材として、2003年に英国映画協会 教育部(British Film Institute Education)より出版されました。
教則本とVHS(のちにDVD)がセットになっています。
この作品集に「笑う月」も含まれていて、出版当時「作品のこういう使われ方もあるんだ!」と、ちょっと感心した記憶があります。
ここでは、本からの一部抜粋という形ですが、映像を使った幼児教育への取り組みの面白い例だと思いましたので、参考までに紹介します。
この教則本での「笑う月」の作品分析は、主に映像の中の音の効果に焦点が当てられています。
タングラム例