第2章 タイミング技法

No.29

動物の動き


 

動物の動き例

 

動物は文字どおり”動く物”なので、駆けたり歩いたり飛んだり潜ったりと複雑な動きをします。長い進化の過程の中で、それぞれの方法で環境に適合してきた形や動きは合理性があり、それぞれの動物を特徴づけています。
実際の動きは複雑ですが、アニメーションでは走りや羽ばたきなどは、同じ動きの反復として表現します。

 

ここでは、1985年につくば科学万博の展示の一部として作成された動物の走りと羽ばたきのアニメーションを参考までに紹介します。これらは暗いドーム内の全円周スクリーンに投影され、プロジェクターが回転して、観客の周りを動物たちが現れては走り回るというというものでした。
当時、3DCGでリアルに動物を動かすことは難しく、また実写では草むらに隠れた下半身を切り抜くこともできず、急遽手描きのアニメーションで作成することになった経緯があります。

 
※ 下のサムネールをクリックしてムービーを選んでください。
 
 
 

上記のアニメーションを元に、繰り返しの動きをコマ送りで確認することができるようにしています。※ それぞれの動物をクリックすると画面が切り替わります。

 
 
 
 
 

鳥や虫などの動き

 

鳥や虫などの動きを、切り抜き技法を使って表現した例を紹介します。
鳥は翼があるため地上では二足歩行ですが、大きさによる違いや、環境や生活態様による違いで歩き方も異なってきます。
なお、ここでのチョウの動きは極端に単純化したもので、No.20「基準点」とも関係しています。

 
 
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マイブリッジの連続写真

第1章「アニメーションの原理」の「写真技術」の部分でも触れていますが、エドワード・マイブリッジ(Eadweard Muybridge)が馬の走りの連続写真を撮るまで、人々はその動きの全体像を瞬間瞬間で分析的に捉えることは困難でした。肉眼で現実の動きを見た時、走る馬の脚のように、素早く動くものはブレて見えるため、瞬間を静止画像で表す場合には想像で補うしかなかったのです。
マイブリッジの連続写真は被写体の動きの分析のためでしたが、肉眼では不可能な、瞬間の動きの構造を捉える画期的な発明で、後世の芸術にも影響を与え続け、またアニメーション技術と結びついて、現実の動きを再現する映画の誕生へと発展していきます。

※ マイブリッジの連続写真をまとめた写真集「ANIMALS IN MOTION」からいくつかの写真の動きを再現したサンプルムービーを別ページで紹介しています。
下の矢印をクリックしてご覧ください。

エドワード・マイブリッジ
馬の連続写真(1878頃撮影)
J・サドゥール「世界映画全史」第1巻より引用
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