アニメーション
想像をいざなう形と動き
資料一覧
印刷された文字や図版だけでは伝わりにくい動きの面白さや視覚の不思議さ、アニメーションの原理を、YouTubeにリンクさせた作品や著者(西本企良)が制作したインタラクティブなムービーなどで紹介しています。
今後も必要に応じて、修正、更新、追加を行なう予定ですので、たまに覗いていただければ幸いです。
またお気付きの点がありましたら、下記メールアドレスまで 気軽にご連絡ください。
本サイトのメールアドレス:contact@killanim.com(西本 企良)
第1章 アニメーションの原理
1- 映画とアニメーションの原理
連続した静止画像から動きのイリュージョンを作り出す原理と、映画・アニメーショ ンのメカニカルな仕組みを紹介します。
2- 映画前史
映画が誕生するために必要であった三つの技術(映写、アニメーション、写真)それぞれの発展の歴史と、それらが統合されて映画が生まれた様子をたどります。
3 - アニメーション表現の歴史
映画の誕生後、その映画の技術を利用しながら発展し、さらにコンピュータの登場にも対応したアニメーション表現を、世界の様々な作品とともに振り返ります。
4 - アニメーションの技術的特性
メディアとしてのアニメーションの特性と、その特性ゆえに生まれた技法や素材の多様性について考えます。
5 - アニメーションの原理を用いた装置
アニメーションの誕生以来、その原理を利用して、現在も玩具やディスプレイとして親しまれている動きを楽しむ装置とその仕組みを紹介します。
第2章 タイミング技法
1ー距離と質感
2Dアニメーションでの立体的な見せ方の工夫や、柔らかさや重さを感じさせる基本的な表現技法を説明します。
2ー基準点(ローカル座標系とグローバル座標系
アニメーション制作で、動くものと環境との関係を表現するために必要な、基準となる空間の座標点について解説します。
3ー予備動作と後動作
動きを自然に見せたり、大きな動きを強調したり、瞬間的な速い動きを知覚させるために必要な技法を紹介します。
4ー動きの「ずれ」
集団の動きをより自然に見せたり、素材や環境の性質を表すために利用する時間的な遅延(タイムラグ)について具体的に見ていきます。
5ー繰り返しの表現
もともと作画の負担を軽減するための技法ですが、機械的な繰り返しの動きだけでなく、自然現象を単純な繰り返しの組み合わせとして表すことも行われます。
6ー人の歩き
アニメーションで動きを作る際に基本となる、全身運動としての「歩き」の分析と、歩く人を追って背景を動かす際の注意点などを紹介します。
9ー音響効果
映像の演出にとって大切な要素である音響の種類と、それぞれの効果について述べます。
「アニメーションのタイミング技法」
著者:ハロルド・ウィティーカー、ジョン・ハラス
出版社:ダヴィッド社
訳者:青木義郎
(1983年)
ジョージ・オーウェル原作のアニメーション「動物農場」(1953)の監督で、イギリス・アニメーション界のパイオニアとして活動したジョン・ハラスが、ハラス&バッチェラースタジオのアニメーターであったハロルド・ウィティーカーとともに著したアニメーションの技術書です。
古い本ですが、アニメーションを制作する上で重要なタイミング技法の基本をわかりやすく解説しています。
原書は1981年に「Timing for Animation」というタイトルでイギリスで出版されましたが、ピクサー社のジョン・ラセターは、2009年に再販されたこの本の序文で、コンピュータでアニメーションを作るようになった現代、ますますこの本の重要性が増していると述べています。("Timing for Animation -Second Edition" Harold Whitaker John Halas updated by Tom Sito published by Focul Press)
目次:
- はじめに
- 序論
- グッド・タイミングとは?
- ストリーボード
- ディレクターの責任
- 基本的な時間の単位
- バーシート上の時間の配分
- 撮影表
- アニメーションと物の特性
- 動きと戯画化
- 原因と結果
- ニュートンの運動の法則
- 空にほうられた物体
- 無生物体のタイミング
- 回転する物体
- 自在な継ぎ手を伝わる力
- 関節を伝わる力
- 絵のスペース取り ー 一般的な注意
- 絵のスペース取り
- ゆっくりした動きのタイミング
- 早い動きのタイミング
- 静止から運動へ、運動から静止へ
- シングル・フレームか、ダブル・フレームか
- 静止の時間
- 予備動作
- フォロースルー
- オーバーラップ・アクション
- 振動のタイミング
- 重さと力を暗示するタイミング−1
- 重さと力を暗示するタイミング−2
- 重さと力を暗示するタイミング−3
- 重さと力を暗示するタイミング−4
- 力を暗示するタイミング:くりかえされる動作
- キャラクターの反応と驚き
- 大きさの感じを出すタイミング
- 摩擦、空気抵抗、風の影響
- 周期のタイミングーくり返す長さは?
- アニメーションにおける効果ー炎と煙
- 水
- 雨
- 雪
- 爆発
- 無生物のくり返し運動
- 歩行のタイミング
- いろいろな歩き方
- 遠近法的アニメーションのスペース取り
- 動物の動きのタイミング:馬
- 動物の動きのタイミング:その他の四足動物
- 動物の駆け足のタイミング
- 鳥の飛翔
- ドライブラシ(スピード・ライン)
- 動きの強調
- ストロボの効果
- 駆け足のサイクル
- 性格表現(演技)
- ムードの表現法
- セリフに合せる
- 口合せー1
- 口合せー2
- 口合せー3
- タイミングと音楽
- カメラの動き
- ペッグ(タップ)の動かし方
- あとがき
第3章 アニメーション表現の可能性
1ーリピート
言葉、文様、音楽など、様々なメディアで使われている繰り返しの表現を紹介し、映像やアニメーションへの応用の可能性も考えてみます。
2ーメタモルフォーゼ
あるイメージから別のイメージへ変化することで、意味が激変し、驚きとともにメッセージ性の強い表現が可能になります。様々なメディアでの変形表現の面白さを紹介します。
3ーシンボライズされたイメージ
象徴的な表現を用いることで、普遍的な強いメッセージを伝えることが可能になります。象徴性の意味と、それを使ったいろいろな作品を見ていきます。
4ーインタラクティブな表現
コンピュータを介在させることで、ユーザーの操作に応じて反応するような表現が可能になりました。それを使ったメディアの広がりについても考えてみます。
「エッシャーの宇宙」
著者:ブルーノ・エルンスト
出版社:朝日新聞出版
訳者:坂根巌夫
(1983年)
1976年に出版された「The Magic Mirror of M.C. Escher 」の日本語訳。
エッシャーが生み出す作品は、連続性や遠近法、鏡面と空間といった構造的な面白さを追求したもので、単に形の美しさや雰囲気・感情を表そうとしたものではありませんでした。
エッシャーは、旧来の芸術からは一線を画した分析的なアプローチで作品を作り、モザイク模様の独特の絵画や二次元平面でのみ可能な在り得ない世界を生み出していきました。
この本は、エッシャーと親交のあった著者が、エッシャーが残したスケッチや話も引用しながら、その生い立ちから、作品の背景や構造まで丁寧に解説しています。
エッシャーが高く評価していたというルネ・マグリットをとりあげ、シュールリアリスムとエッシャーの作品との違いに言及している点も興味深い部分です。
両者とも視覚的な驚きに満ちていますが、マグリットの記号論的な面白さに対して、エッシャーは幾何学的、数学的な面白さと言えるのではないでしょうか。
エッシャーの画業の全体像がわかる本です。

1976年に出版された英語版(左)とオランダ語版(右)の表紙
第一部 絵を描くことはだますことである
- 1 魔法の鏡
- 2 エッシャーの生涯
- 3 分類屋泣かせの芸術家
- 4 人生と作品に表れた対称性
- 5 作品の発展過程
- 6 描くことはだますこと
- 7 アルハンブラの芸術
- 8 遠近法の探求
- 9 切手、壁画、紙幣
第二部 あり得ない世界
- 1 不可能な世界の創造
- 2 職人的技巧
- 3 同時性の世界
- 4 ありえない世界
- 5 自然と数学のすばらしい造形
- 5 画家は無限をどう描くか
あとがき
作品索引
第4章 知覚の探求とアニメーション表現
1ー形と動きの補完
人間の知覚の仕組みを研究した心理学での成果や、それを応用した錯視の不思議さ、認知の仕組みにおける動きの重要性なども紹介します。
2ー形の単純化
対象の形を単純化することによる効果と、単純化した場合の静止画像と動く画像の違いも考えてみます。
3ー見立てのアニメーション
あるものを別のものに見立てる、あるいはそう見えてしまう仕組みと、それを楽しむ文化について考え、単純な形態を使って、何らかの意思を持ったものに見立てたアニメーションの例を紹介します。
カニッツァ
「視覚の文法」ゲシュタルト知覚論
著者:G. カニッツァ
監訳者:野口薫
出版社:株式会社 サイエンス社
(1985年)
原著:"Organization in Vision: Essays on Gestalt Perception" by Gaetano Kanizsa
(1979)
画家としても活動したイタリアの心理学者G. カニッツァが、実験を元に豊富な図解を用いてゲシュタルト心理学を解説したした本です。
ゲシュタルト心理学の祖であるヴェルトハイマーやケーラー、コフカ、さらに師として仰ぐメッツガーの論をふまえながらも、さらに独自の見解を述べています。
人間の視覚の不思議さを紹介していますが、「視知覚に関するエッセイ」とうたっているように、わかりやすい図解とともに楽しく読み進められる本になっています。
目次
訳者まえがき
まえがき
謝辞
- 過去経験と「不可能実験」
- どのようにすれば対象は見えなくなるか
- 何が手前にあり、何が背後にあるか?
- 透明視のもたらす逆説
- さかさまのヨーロッパ
- 踊るダチョウ
- ゲシュタルト心理学、九つの誤解
- 「ゲシュタルト」をどう訳すか?
- 誤解その1 ゲシュタルト心理学は基本的には知覚心理学である
- 誤解その2 ゲシュタルト理論は一種の還元主義である
- 誤解その3 ゲシュタルト理論は生得説である
- 誤解その4 ゲシュタルト理論は分析を拒否する
- 誤解その5 ゲシュタルト理論は生気論である
- 誤解その6 ゲシュタルト理論は知覚における動機の要因の影響を否定する
- 誤解その7 ゲシュタルト心理学は過去経験の影響を否定する
- 誤解その8 ゲシュタルト理論は規則性を対称性と等しいと考えている
- 誤解その3 ゲシュタルト理論は問題解決が「洞察」によると考える
- ゲシュタルト錯誤と期待錯誤
- 刺激錯誤
- 経験錯誤
- 期待錯誤
- ゲシュタルトの錯誤
- 知覚体制化における規則性の役割
- 非感性的完結化
- 局所条件の効果
- 規則性の最大化傾向
- 完結化の傾向
- 図ー地の体制化と対称性
- 現象世界における規則性の重要性
- 偏向ガンマ運動
- 問題
- 実験
- 結果
- 眼球運動の機能
- 系列的提示の効果
- 効果
- 境界と色
- 色の現れかた
- 微小構造と境界勾配の機能
- 表面の現れかたと境界の形の効果
- 色の同化
- 対比と同化
- 陰影条件を加えた実験
- ゆるやかな境界勾配の効果
- 一つのパラドックス
- 透明視
- 必要条件
- 透明視の色の効果
- 明るさの対比
- 明るさの誘導:関係的現象
- 現象的所属性
- 知覚される面の縮小と拡大
- 現象
- 縮小量と非感性的に完結される領域の大きさとの関係
- 通常の図ー地条件における非感性的完結の効果
- 非感性的完結の結果としての現象的拡大
- 異種輪郭
- 明るさの変容:異種表面形成の原因か、結果か?
- 立体視における異種輪郭
- 異種輪郭の機能的実在性
- 認知的輪郭
- その他の現象と未解決の問題
- 視知覚における関係枠
- 問題
- 実験:成人を用いた場合
- 実験:子どもを用いた場合
- 結論
- 問題解決と「プレグナンツ」
- 問題解決は常に構造の「要求性」にしたがうか?
- 構造の要求性は問題解決の過程を妨げうる
- 上からの促進と下からの促進
- 材料の構造的特徴の役割
- 空間方向の役割
- 表現の構造的特徴の役割
- 考察
- 与えられた情報を超える二つの仕方
- 一時過程と二次過程
- 与えられた情報を越える二つの仕方
- 視覚と思考
参考文献
邦訳文献
人名索引
事項索引
Appendix
Appendix1 テレビ映像の仕組みー走査線についてー
フィルムを使い、黒味を挟んで1コマずつ投影する映画とは違う、走査線を使ったテレビ映像の、動く仕組みについて解説します。
Appendix4 ノーマン・マクラレンとNFB
映像に対する独特なアプローチで、アニメーション界に大きな影響を与えたノーマン・マクラレンと、彼の元から輩出したアニメーション作家たちの作品を紹介します。
おわりに
「生物から見た世界」
著者:ヤーコブ・フォン・ユクスキュル、ゲオルク・クリサート
訳者:日高敏隆、野田保之
出版社:思索社
(1973年)
原著:"Streifzüge durch die Umwelten von Tieren und Menschen : Bedeutungslehre"
by Jakob von Uexküll, Georg Kriszat
(1934)
私たちは世界を、映画を見るように眺めているだけではありません。
常に環境からの刺激を知覚し理解して、次の行動を起こします。
このようにして世界を理解しているとすれば、それぞれ違った感覚器官と身体機能を備えた他の動物たちは、どのような世界像を作り上げているのでしょうか。
ユクスキュルは、それぞれの動物が知覚し作用する世界の総体が、その動物にとっての環境であるとし、「環境世界」と名づけました。
これらの研究は動物行動学の先鞭となり、翻って人間が世界をどう捉えて関わっているのかを客観的に考察することにもつながっています。
目次
訳者まえがき
まえがき
謝辞
- 第1部 動物と人間の環境世界への散歩
‥‥‥ヤーコブ・フォン・ユクスキュル、ゲオルク・クリサート
- はじめに
- 序論
- 第1章 環境世界の諸空間
- 第2章 最遠平面
- 第3章 知覚時間
- 第4章 簡単な環境世界
- 第5章 知覚標識としての形と運動
- 第6章 目的と計画
- 第7章 知覚像と作用像
- 第8章 周知の道
- 第9章 家(ハイム)と故郷(ハイマート)
- 第10章 仲間
- 第11章 探索像と探索のトーン
- 第12章 魔術的環境世界
- 第13章 異なる環境世界における客体としての同一主体
- 第14章 結び
- 第2部 意味の理論
‥‥‥ヤーコブ・フォン・ユクスキュル
- 第1章 意味の担い手
- 第2章 環境世界と居住圏
- 第3章 意味の利用
- 第4章 クモの巣の意味
- 第5章 形態形成の法則と意味の法則
- 第6章 二つの基本的な法則の橋渡しとしての意味の法則
- 第7章 自然の作曲理論
- 第8章 意味を耐えること
- 第9章 自然の技術
- 第10章 形態形成の動機としての対立符点
- 第11章 進歩
- 第12章 総括と結論
- 初版への序文
新しい生物学の開拓者‥‥‥アドルフ・ポルトマン
環境世界の研究ー主体と客体とを含む自然研究として‥‥‥トゥーレ・フォン・ユクスキュル
本書のために‥‥‥フィッシャー版編者序
訳者あとがき
- その他の図書 -
「動物は世界をどう見るか」(1995年)
著者:鈴木光太郎 出版社:新曜社
ユクスキュルの論を基礎に置きながら、さらに多くの動物の感覚器官を考察し、知覚の研究を深めています。最後の「シミュレーションの落とし穴」の章では、動物の環境世界像は感覚器官からの刺激を脳が総合して形づくっているので、「動物の視覚世界のシミュレーションと称するものの多くは、実際には網膜像のシミュレーションであって、知覚世界のシミュレーションではない」と述べ、人間が動物の環境世界を想像することの難しさ(不可能性?)に触れています。
「動物と人間の世界認識 ーイリュージョンなしに世界は見えない」(2003年)
著者:日高敏隆 出版社:株式会社 筑摩書房
ユクスキュルの「生物から見た世界」を元にし、「イリュージョン」という言葉を使って、動物の知覚世界や人間の環境認識、遺伝子や進化論について解説しています。
ユクスキュルの論を、わかりやすい言葉で平易に説いた入門書です。

「映画の考古学」
著者:C.W.ツェーラム
出版社:フィルムアート社
訳者:月尾嘉男
造本:杉浦康平+鈴木一誌
(1977年)
豊富な図版を掲載して、映画が誕生する前の様々な開発者達の膨大な発明と、映画誕生初期の歴史を紹介しています。
光学的なあるいは生理学的な発明発見が、映画という一つの完成されたメディアへと収斂し、大きな産業へ変貌を遂げる様が描かれています。
目次
凡例
まえがき
エピグラフ
文献
索引
訳者あとがき